Syphilitic Optic Neuritis initially Misdiagnosed as Ischemic Optic Neuropathy
症例報告
50歳の男性が7日前から右目の著しい視力低下の病歴で受診した。 検査では,最高矯正視力は右眼20/100,左眼20/20であった。 患者は糖尿病を患っており,糖尿病治療薬を服用していた。 右相対求心性瞳孔欠損(RAPD)が惹起された。 石原テストでは色覚の低下が認められた。 眼底検査では両眼とも視神経乳頭腫脹と視神経乳頭縁のぼやけを認め、右眼で顕著であったが、それ以外は異常なし(図1A-D)。 前眼部や硝子体には炎症の徴候はなかった。 ハンフリー視力測定(24-2 Swedish Interactive Threshold Algorithm Standard)により、右眼に広範な中心暗室があり、左眼は信頼性に欠けた(図1E、図1F)。 初期検査所見では、赤血球沈降比(ESR)とCRPの上昇が認められた。
Fig.1.
来院時の患者の臨床的特徴。 最高矯正視力は右眼20/100,左眼20/20であった。 眼底写真(A,B)では視神経乳頭を除き異常所見を認めない。 視神経乳頭挙上術により,両眼とも視神経乳頭の腫脹と視神経乳頭の縁のぼやけを認め,右眼で顕著であった(C,D). 視野検査では、右目で中心視野の陥没がみられ(E)、左目では固視消失が多く信頼性に欠ける(F)。 MD=平均偏差、PSD=パターン標準偏差
この患者は4日前に別のクリニックを受診していた。 彼の視覚症状は、何の治療もせずに部分的に改善した。 しかし、右目の視力が悪化したため、当院を受診した。 初回の血液検査でESRとCRPが上昇したため、AIONと仮診断した。 AIONのワークアップのため、この症例についてリウマチ専門医に相談し、さらに血小板を含む血液スクリーニングが行われた。 全身ステロイドと側頭動脈生検を検討し、前医院のデータを持って翌日再診していただきました。
翌日、前医院の眼底写真を確認したところ、右黄斑に大きな黄白色のプラコイド病変がありました(図2A,図2B)。 前医院で実施した眼底フルオレセイン血管造影では,視床に初期および後期の染色が認められたが,明確な漏出の兆候はなかった。 また、プラコイド病変部では、初期の中心部の低蛍光と進行性の後期高蛍光を観察した(Fig.2C、Fig.2D)。 黄斑部光干渉断層計では網膜浮腫や漿膜剥離の兆候は全く認められなかった(Fig.2E, Fig.2F). そこで,臨床的にASPPCを強く疑い,急性梅毒感染のスクリーニングとして迅速血漿再吸収検査を実施した. 急速血漿再吸収検査(RPR;1:128)陽性後,T. pallidum粒子凝集測定法および血清蛍光トレポネマー抗体吸収検査を行って診断を確定し,AIONのワークアップを中止した. 最終的に、これらの確認検査で陽性となった。
Fig.2.
事前の臨床データ。 最高矯正視力はOD20/200、OS20/20であった。 右眼の眼底検査では,後極の円形または楕円形の領域に網膜混濁を伴う急性梅毒性プラコイド後ぶどう膜炎の特徴を示した(A)。 左眼の眼底検査は当院受診時のものと同様であった(B)。 フルオレセイン血管造影所見では、初期の低蛍光黄斑病変(C)に続き、後期に高蛍光を認めた(D)。 右眼の光コンピュータ断層撮影では網膜下液を伴わない RPE の結節性高反射を認めた(E)。 左眼の黄斑部CTでは網膜浮腫や漿液性剥離の兆候は認められなかった(F)。 S=上、N=鼻、I=下、T=側頭。
脳脊髄液(CSF)検査では、CSFタンパク質とグルコースが正常範囲内であった。 CSF白血球数はわずかに上昇し,CSF RPRは陰性であった。 患者は梅毒による全身症状(倦怠感,頭痛,吐き気,便秘など)を認めなかった。 その他,下疳,扁平コンジローム,黄斑丘疹,リンパ節腫脹などの全身症状もなかった.
急性期に梅毒性後窩洞脈絡網膜炎を伴う梅毒性視神経炎と診断された。 視神経炎と網膜炎は一般に神経梅毒と考えられ,それに応じた管理が必要であるため,入院してベンジルペニシリン1.2 gを4時間ごとに2週間点滴静注した。 視力,色覚,視神経乳頭腫脹は2週間のペニシリン投与で完全に回復した(図3). 治療3カ月後,RPR価は1:128から1:32に低下した。
治療後の患者の臨床的特徴。 治療後の両眼の眼底写真(A、B)および視神経乳頭立体写真(C、D)。 2週間のペニシリンG点滴で治療後、両眼とも視神経乳頭腫脹は消失した。 最高矯正視力は右目20/25,左目20/20に改善された。